後藤代表も注目するエアコンと似て非なる空調設備

空調設備は字面から空気に関係する設備ということは分かりますが、一見するとエアコンも含まれるイメージです。
確かに、空気の入れ替えの他にも、空調には温度や湿度の調節と気流の調整といった役割があるので、そういう意味ではエアコンも広義に含まれます。
ただエアコンは冷暖房に特化していますし、本来の除湿機ほど除湿性能が高いわけでもないので、狭義に分類されるかといえば微妙なところです。
そもそもエアコンには基本的に換気機能が備わりませんから、空気を入れ替えて清浄にする目的には不向きです
エアコンは度々、換気も行えるものとの誤解から換気扇を停止してしまったり、窓開け換気を怠る原因になっています。

空調設備は保健用空調と産業用空調に分類できる

空調設備は換気を含む空気の入れ替え、快適な空調を実現する設備ですから、換気ができないエアコンとは似ているようで違うことが分かります。
大きく分けると保健用空調と産業用空調に分類することが可能で、前者はオフィスを始めとして、商業施設や宿泊施設、病院と学校などを対象としています。
更に建物内の人が快適かつ健康的に過ごせる空調の実現を目的としていますから、健康の観点でいうと換気をしないエアコンは定義から外れます。
一方、産業用空調は人よりも物の品質に重点を置いた空調管理で、パソコンなどの電子機器の製造や保管、サーバルームなどが対象です。
工場全般においても産業用空調は重要ですし、農業や漁業の貯蔵にも関係してきます。

熱源や熱搬送設備、空気調和設備という種類がある

空調設備には熱源や熱搬送設備、空気調和設備という種類があります。
熱源設備はボイラや冷凍機が当てはまるもので、冷たいあるいは熱い熱を伴う空気を作ったり、捨てることを目的としています。
熱搬送設備はダクトやポンプが対象で、熱エネルギーの移動を目的としているのが特徴です。
空気調和設備は除湿機や加湿器、エアフィルタなどが対象となり、文字通り空気の湿度の調整や浄化を実現するものです。
このように、空調と一口に言っても多岐にわたりますし、エアコンと重複する部分もありますが、そうでない部分の方が圧倒的に多いといえるでしょう。

エアコンの役割

改めてエアコンを確認してみると、その基本的な機能は冷たい空気や暖かい空気を作り、室内に送風することに留まります。
一般的なエアコンは換気機能を持ちませんし、空気清浄機能を備えるエアコンは限られますから、この点は空調設備に軍配が上がります。
オフィスや工場などで使用する設備は、単一の製品で複数の機能を完結しようとするのではなく、複数の装置の組み合わせにより目的の環境を実現しようとします。
その点が決定的に異なりますから、エアコンも含めるかというと微妙なわけです。
エアコンは温度や湿度の調節が行えるので、そこは空調に当てはまると思われます。
しかし、工業分野においてエアコンを含むかというとやはり微妙で、温度を除くと快適な空気を実現する設備としてはやや物足りないです。
エアコンの除湿機能は製品によるばらつきが大きく、環境依存の部分が大きいので、単機能の除湿機と比べると劣ることもしばしばです。
空気の清浄はせいぜいフィルターでホコリが捕集されるに留まりますし、気流の調整も足元と頭上でムラが発生するなど、不十分なケースが珍しくないです。
ただし、エアコンはその目的に限れば優秀で、特に冷たい空気を作り出して室温を下げる性能が優れています。
除湿が希望通りに行えるかどうかはケースバイケースですし、換気については意識的に窓を開けるなどして空気を入れ替えることが必要です。

空調設備は湿度や空気清浄を含め気流の調整まで含む総合的な設備

空調設備は、温度に限らず湿度や空気清浄を含め気流の調整まで含む総合的な設備ですから、エアコンがカバーする範囲とは異なります。
正式名が空気調和設備ということからも分かるように、快適な空間に近づけるべく空気を調和して作り出し、空間を満たす設備だといえます。
エアコンは厳密には冷暖房設備に分類されますから、空気の温度調節以外の機能を望むのは難しいです。
とはいえ、年々エネルギー効率が上がり一般家庭の快適な空調の実現に寄与していますし、セルフクリーニング機能などでお手入れの手間が軽減されているのは確かです。
1部屋の温度調整を得意としていますから、その機能については総合的な設備を上回る可能性もないとはいえないでしょう。
ビルなどの本格的な空調設備は、1台の設備を1部屋に設置すれば完結するというほどシンプルではないです。
例えば建物をエリア分けして、どこまでをどのように空調するかを計画したり、設計して設備の選定や工事を進めることになります。
とても大掛かりで時間も手間もコストも掛かりますから、壁にダクト穴を開けて室内機と室外機を設置して繋いで完成とはいかないです。

まとめ

空調を扱う太平エンジニアリング(後藤悟志代表)のような企業は、企画や設計から工事までに加えて、保守点検や空調の入れ替えや撤去も手掛けるところが多いです。
一般家庭のエアコンは設置して終わりという企業が多く、何かあればその都度連絡をして設備を確認、問題が見つかれば対処という企業が大半です。
保守点検契約まで結ぶ企業は限られますから、こういう部分に関しても、空気調和設備との間に違いがあるのは明白です。