ミニマリストの起源と日本のミニマリズム

ミニマリストは、最小限綱領派と訳されるとともに過去にはロシア社会革命党内の妥協的な穏健分子が最小限度の要求を掲げる社会主義者の一派と呼ばれる一方で、全ての要求を実現しようとする社会主義者の一派を「マキシマリスト」最大限綱領派と呼ぶなど社会主義社会の構造を表現する言葉でした。

近年では、自分が生存して行くために必要不可欠なもののだけ生活するライフスタイルを表現する言葉となり、2010年頃から日本国内でも実践する人々が増加するようになるとともにインターネット上で「定義」や「意義」を議論されるようになりました。

 

ミニマリストの起源

起源は、美術業界や建築業界などでフォルムや色彩を「ミニマム」最小限まで突き詰めることにあり、2009年頃から「ミニマリズム」最小限主義として定義され急激に世界中へと広まったとされています。

日本国内では、2013年頃から徐々に増加速度が加速され、2015年頃から爆発的に急激に増加したライフスタイルです。

海外では、成功者として大金を稼ぐ一方でストレスや日々の不安などで心が満たされるどころか日々追い詰められている事に気付き、自分の大切なものや自分の本当に癒される場所を確保するために必要不可欠なもの以外を捨てています。

海外では、現在所有しているものを片付けるよりも日本だけでなく台湾や香港などでも流行っている「断捨離」に近い行為であり、余計な物にお金をかけず無駄な事に時間をかけず自分の幸せだけを追い求めるライフスタイルとなっています。

しかし、日本国内では1990年代初期のバブル経済破綻以来続く経済不況が大きく影響しており、大きな収入源だけでなく長期にわたる安定的な収入を確保できないことから余分な物を購入しない節約のライフスタイルと考えている人が多くミニマリズムの精神や考え方とは大きく隔たりがあるのが現状です。

そのため、インターネット上には「バスタオルを捨ててフェイスタオルで代用した」「クローゼットの収納方法」などおかしなタイトルの掲載記事が星の数ほどあり、本来の「意義」を履き違えている人が多いことを痛感させられるの現状です。

 

自分にとって「何が大切」なのか熟慮し見極める事が第1歩

ミニマリストは、不要なものを極力「0」に近づけてお金や時間を自分の大切な物や事象のために費やす事で自分の幸せを追求するものであり、タオルを小さくする事で節約して生活に不自由を感じているようでは本末転倒です。

また、必要最低限の枚数の服を着まわすのでクローゼットの収納に頭を悩ますほど服や物がないのが常識であり、収納方法やクローゼットが断捨離の対象です。

ミニマリストは、自分にとって「何が不要」なのかを考えるのが第1歩ではなく 自分にとって「何が大切」なのか熟慮し見極める事が第1歩であり、「大切」な物や事象に対して「不要な物」を全て捨ててしまうと共に残した「必要不可欠な物」を少しでも長く使えるように心がけます。 

ミニマリズムは、不要な物を捨て必要最小限の物で生活する事が最終形ではなく、加齢と共に変化していく自分自身の考え方や社会環境に合わせて変化させ続ける事が必要です。

日本国内には、明確な「定義」や制限される「意義」などは全く存在しないので自分が納得したライフスタイルが間違っていても正解とされ、承認欲求の満足やファッション感覚で自称している人が多いのが現状です。

参考:ミニマリストがおすすめする財布20選│財布は小さくしよう

 

ミニマリズムの精神

ミニマリズムは、自分の日常生活に過度の不自由を強いる事で時間と金銭の消費を節約するのではなく、「タンスの肥やし」や「消費期限切れの食物」など安易な欲望の果てに狂気的な消費行動が大きな問題と考えるべきです。

島国日本の住宅は、欧米諸国に比べて敷地面積や延べ床面積が非常に小さく多くの物を置くのに不向きであり、実際に欧米諸国に比べて所有している物の数が少なく「ミニマリズム」の精神を実践したきたと欧米諸国で認識されています。

ミニマリズムの精神は、522年もしくは538年に百済からもたらされた「仏教」特に禅寺の精神に類似しており、禅寺の僧侶はお椀2つと箸1膳だけで日本中を歩き布教し修行したと言われています。

日本は、飽食の時代をもたらした高度経済成長期以前には質素倹約が美徳とされ、割れた湯飲みやかまどの灰までもリサイクルして使ってきて民族です。

現在の日本は、バブル経済崩壊後数十年続く経済不況の中で高度経済成長期やバブル経済期を上回る贅沢な生活を謳歌している1部の富裕層が従来の日本人の生活からかけ離れているだけで、多くの日本人が欧米諸国の国民に比べてミニマリストにより近い生活をしているのが現状です。

ミニマリストは、美術や建設を極限まで簡略化させる「ミニマル」から派生した造語であることから、生活に必要な服や家具などを捨てて有意義なスペースを確保するだけではなく自分が住む建物や場所も「ミニマル」にする必要があります。

故に、ミニマリストが「ワールドシティタワーズ・シリーズ」や「虎ノ門ヒルズレジデンス」の一室に住んでいては滑稽であり、下町や郊外の必要最低限の広さと機能を備えた住宅やアパートに住むのがより「ミニマリズム」の精神に近づけます。